BMC Roadmachineとは?その魅力とメリットを大解剖

プロレースで使用されているロードバイクカテゴリーのTeammachine SLRシリーズやTimemachine Roadシリーズ、Timemachineシリーズに比べて、露出が少なく認知度が少ないのがRoadmachineシリーズ。
レースブランドのBMC ロードバイクにおいて、UCI規定(※1)もパスしながら、唯一プロ選手がレースシーンで供給されないモデルでもあります。
そんな、BMCの中でも異質を放っているRoadmachineシリーズをEndurance(エンデュランス)カテゴリーの歴史とともに語っていきたいと思います。

BMC Endurance(エンデュランス)カテゴリーの歴史

初代 Endurance(Granfondo)カテゴリーモデル GFシリーズ

ロードバイクカテゴリーが細分化したのは、2012年(2013年度モデル)からです。
その当時、現Enduranceカテゴリーは『Granfondo(グランフォンド)カテゴリー』と呼ばれていました。

そこで発表になったのがGF01のカーボンフレームとGF02のアルミフレームです。

このバイクのコンセプトが、当時としては珍しい『戦えるGranfondo Bike』ということで、「ただ単に柔らかいフレームではパワーロスが大きく、コントロール性も乏しくなり、結果、長距離を走ることが困難になる」という概念をベースにMTBで採用したアングルコンセプトや全体でしなるTCCを進化させて、パリ~ルーベでも戦える速くて快適なグランフォンドバイクが誕生しました。

現在のモデルにも通用するフレーム設計で、太いダウンチューブから生まれるフレーム剛性は初代SLR01よりも高い数値があるのにもかかわらず、フォークエンドやリアエンドのアングル(角度)やフレーム上部&シートポストの適度なしなりにより生まれる高い快適性という、矛盾したコンセプトが混在したモデルでした。

特にアルミフレームだったGF02は、カーボンフレームにも負けない快適性があり、試乗したショップスタッフさんも間違えるほどの性能でした。

翌々年の2014年(2015年度)には、今となっては、当たり前になっていますディスクブレーキを搭載したモデルも追加発表しています。(写真は最終年度2016年度カラーです)

2代目 Enduranceカテゴリーモデル 初代Roadmachineシリーズ

2016年(2017年度)の GranfondoカテゴリーのGFシリーズからRoadmachineシリーズへモデルチェンジしたと同時に、カテゴリー名もEnduranceへと変更。
『ホビーライダーのためのオール・イン・ワン・バイク』とローカルレースでも戦え、週末のロングライドも難なくこなせる。
ホビーライダーが、どのカテゴリーを選べばいいのか迷わなくて済むようなバイクというコンセプトでデザインされており、業界初ともいえるスルーアクスル&ディスクブレーキ搭載を前提にフレームデザインされたロードバイクとなります。

前モデルのGFシリーズに採用された、アングルコンセプト(各エンドに角度を付けて、路面振動を軽減するフレームデザイン)は、非採用されておりますが、カーボンレイアップなどの最適化&D字型シートポストなどのTCCをさらに進化させたことで、快適性をアップ。
それに、ロードバイクのデザインで不可欠な【速さ】を感じさせるフレームデザインのため、エアロロードのTimemachine Roadのような流線型のフレームチューブやRoadmachine01グレードのみになりますが、ブレーキなどの配線をハンドルからステム内部に通すインテグレーテッドコックピットの採用をにより、GFシリーズの露骨さあふれるデザインから一新して、エアロ感やスムーズさを感じるデザインに生まれ変わっています。

インテグレーテッドコックピットは、BMCのメインバイクでもあるSLR01よりも早く、Roadmachine01に採用されています。

プロレーサーも唸った初代 BMC Roadmachine01
2016年当時、BMC Racing Teamに所属していたダニエル・オズ選手(現ボーラ=ハンスグローエ)にレースの合間をぬって、ローマからスタートしたイタリア横断ライドを行いました。 その時の相棒は発表されたばかりのRoadmachine01。 久しぶりの練習やレースではない、純粋なファンライドを経験。 あまりにも完成度の高いスペックが評判となり、オズ選手をはじめとするBMC 所属選手から、Roadmachine01でクラシックレースを戦いたいと、BMCに逆オファーが絶えなかったそうです。
けれども、BMC側は『君たち選手にはSLRやTimemachine Roadを勝利のため、供給している。このRoadmachineは、一台でレースやツーリングをこなさなければならないホビーライダーのためのバイクだ。だから、君たちには供給できない。』と社長の鶴の一声があったとか、なかったとか。(ただ、2017年 台北ショー内に行われた代理店会議でそんな小話がメーカーからありました。)
現にプロ選手が欲しても、一度もRoadmachineシリーズにモデルチェンジ以降、パリ~ルーベなどのクラシックレースでは選手用に改良された前モデルのGF01(市販なし)かSLR01で選手たちは戦っており、Roadmachineシリーズは一度も供給されていないままです。


また、BMC RIDE CREWの一員でもあり、2020年に固定ギアで約 330 キロメートル、高度 8,500 メートルのアルプス越えを挑戦したFIXERのPatrick Seabaseが乗っている、ワンオフメイドのピストバイクもRoadmachine01がベースとなっております。

3代目 Enduranceカテゴリーモデル 2代目Roadmachineシリーズ

2019年(2020年度)に開発コンセプトの『ホビーライダーのためのオール・イン・ワン・バイク』は引き続き採用され、より剛性を高め、そして軽量化に成功した2代目Roadmachineへとモデルチェンジし、BMCが長く追い求めている【速さと快適性の融合】のマスターピースが誕生しました。(最近のBMCは、モデルチェンジしても見た目が大幅に変わらないので、写真だけでは伝えづらいのですが…)

レーシングブランドのBMCが発信する2代目Roadmachineは、さまざまな路面に対してバランスの取れたラグジュアリーなライドフィーリングを発揮できるように、フレームはもちろん、フォークやシートポストまでに採用したTCC Enduranceをフル再調整をして作り上げており、歴代のEnduranceカテゴリーの最高なパワー伝導率と快適性で、楽しいライドが出来るロードバイクへと進化しております。

補給食などを入れるバッグ(ボルト式)を取り付けるためのねじ穴がトップチューブに完備しており、ロングライド愛好家の心をくすぐる設計もされております。

ロードバイクに必要なデザインやEnduranceカテゴリーに不可欠なテクノロジーをもちろん、2代目も引き継いでいます。

しかも、BMCがこっそりと始めた裏カテゴリー「Masterpiece」には、レースで活躍するTeammachine SLRやTimemachine Roadではなく、Roadmachineのデザインが採用されています。(生産数があまりにも少ない&高額車ので、大々的に発表はされておりません。)

このマスターピース(Masterpiece)には、Roadmachineシリーズが元々持っていたラグジュアリーなライド感がマッチしており、レース志向だから高級車という固定概念を壊しています。

総括&試乗会でのRoadmachine

『SLRよりは速くヒルクライムはできないかも… Timemachine Roadよりはスプリント勝負はできないかも… だけど、SLRよりも快適に長距離移動ができ、Timemachine Roadよりも問題なく荒れた道を制覇できる』そんな半分ネガティブなキャッチフレーズがメーカーからも付けられてしまったRoadmachineシリーズですが、RoadmachineはSLRよりも先に当時の最先端のテクノロジーやスペックが搭載されたり、供給はされないがプロ選手から愛されたりと不思議なモデルです。
試乗会でも良く、SLRシリーズやTimemachine Roadと比べられて、「出だしがね…。最高速度までの時間がね…」とネガティブな感想を言われることが多いのも事実ですが、Roadmachineの本領は、50㎞や100㎞を超えたあたりからの快適性と疲労の軽減になると思います。
短い距離を乗る試乗会では、他のモデルを乗り倒してから、最後にもう一度Roadmachineを試乗してもらうと、この自転車の良さが良くわかると思います。

また、プロ選手が欲しくても供給されないモデルと思うと、非常に特別な感じがしませんか?

BMC Roadmachineシリーズおすすめ動画




※1 初代Roadmachineシリーズは、一度、UCI規定をクリアしましたが、再検査後、シートチューブの太さが規定より、一部が細かったので、取り消しされています。