新たなシーラント
チューブレスに関する製品が多いEffetto Mariposa (エフェットマリポサ) より
新しいシーラントが登場しました。
その名も Vegetalex (ヴェジタレックス / ベジタレックス)
Vegetalex 1000ml
https://e-ftb.co.jp/item/4416/
新商品のケミカルということで、お問い合わせも多いアイテムです。
同社には既にCaffelatexと呼ばれるシーラントがあり、いくつかのホイールメーカーより推奨シーラントとして指定されています。
一体何が違うのか、商品の特徴や実際にセットアップをしてみて感じたことをユーザー視点も混ぜつつ紹介していきます。
商品の特徴
植物ベースのシーラント
主にオリーブとセルロース繊維で構成され、キサンタンガム(食品のドレッシングやソースのとろみ付けに使われる増粘剤)が繊維をつないでいます。
キサンタンガムには擬塑性流動(ぎそせいりゅうたい)という流動特性があるようです。
擬塑性流動とは力を加えると粘度が低くなり動きやすく、加わっていない時は粘度が高くなる特徴があります。
つまりホイールが回っている間はサラサラとタイヤ内部を動き回り、止まっている時はタイヤ側面にくっついていてくれることが見込めるということのようです。
ドレッシングの容器を振っている時と置いた時の液体の動きがイメージしやすいとのこと。
ちなみに擬塑性流動は最初読めないし書けませんでした。 今は読めるけど書けません。
高い耐久性・低メンテナンス
「暑い時期」「多孔質のタイヤ」といったシーラントにとって厳しい環境であっても3ヶ月は性能を保ち続けます。
一般的なユーザーであれば6ヶ月以上の寿命があります。
CO2カートリッジが使用可能
同社のCafelatex等のシーラントはCO2ボンベを使用すると固まってしまいますがVegetalexは影響をうけません。
出先でのビート上げも楽にでき、ライドへの復帰を助けます。
プラスティックフリー
Vegetalexにはアンモニアや他の攻撃的な化学物質は含まれず施工者や機材に対して優しいシーラントです。
天然ゴム、ラテックスアレルギーのある人にアレルギー反応を引き起こしません。
簡単メンテナンス
Vegetalexは急速固化ポリマーは含まれていないため、簡単に取り除けます。
乾燥した状態でも石鹸水とブラシで綺麗にすることが出来ます。
つまり最強では?
文面だけでみるとCafelatexの上位互換ですね。
使用量だけはCafelatexに比べて1.2倍程度を推奨していますが、それ以外はデメリットはなさそう・・・
環境に優しくて、メンテナンスフリーで、CO2ボンベでビートを上げれて、簡単に綺麗に出来るという事ですよね?
・・・なんてそんな鵜呑みにするほど我々はピュアではないぞ!
この目でみるまでは信じない!実験だ!
実験してみよう
チューブレスタイヤを運用しているライダーが気になることはざっくりと以下の事項でしょうか
・ 色味と匂いは?
・ Co2ボンベを使って大丈夫?
・ パンク修理能力
・ ブラシと石鹸水できれいになるのか
・ロングライフ・低メンテナンスとはどの程度なのか
というわけで1つずつ確認していきましょう。
色味と匂いの確認
< 実験方法 >
パレットの上に出してみて見たり嗅いだり触ってみます。
< 実験結果 >
色味・・・薄緑ベースの液体に何かツブツブしたのがいっぱい入っててCafelatexと比べると見た目は良くない濁っている。青汁。
匂い・・・換気等は必要ないレベルですが、若干ですが接着剤みたいな匂いがします。
ちょっと触ってみる・・・指で擦る分には変化なし、Cafelatexは指でこすると膜が出来るんですが・・・ これがVegetalexの安定性・ロングライフにつながるのかな?
Co2ボンベを使って大丈夫か
< 実験方法 >
ホイール組立時のビート上げにCO2ボンベを使うことで検証します。
< 実験結果 >
ビート上げ後、タイヤを外し中を確認してもVegetalexに変化はなし。
タイヤの中に入れてしまえばシーラントの色あまり気になりませんね。
ちなみに、Cafelatexだと目に見えて硬化します。
こんな感じになってしまうのでCafelatexを使用する際はCo2ボンベはNGです。
Vegetalexは自信を持って 使用可 と言えます。
パンク修理能力
< 実験方法 >
実際にチューブレスホイールを組み立てて穴を空ける。
今回はタイヤ頂点に2mm程度の穴を開けました。
ブスリ!
嗚呼、絶対に一人では(お金の面で)やりたくない実験・・・
新品のタイヤが・・・僕にくれ・・・
< 実験結果 >
ふさがりました。
しかしCafelatexの方が早いです。100PSI→70PSI程度まで時間がかかります。
やはり粘度の違いなのか、反応の速さはCafelatexに軍配があがるようです。
内容量が少ないのも原因か?と思い追加で投入後再度試しましたが、Cafelatexの2,3周ホイールが回っている間にスッと止まるような感じではありませんでした。
個人的には乾く迄に時間がかかっているイメージ。
耐久性と修復能力はトレードオフ関係なのでしょうか。
ブラシと石鹸水できれいになるのか
< 実験方法 >
実際に綺麗にしてみる
< 実験結果 >
石鹸水を使わずに水&手できれいになった。
施工から日が経っていないので流水でジャバジャバしただけで綺麗に。
普通のシーラントだと直接水道に流すのはダメなものが多いですが、Vegetalexは気にしなくて良さそうでいいですね。
今回のタイヤは内側に凸凹が有り、普通ならばこの溝の間にこびり付きそうなものですが綺麗なものです。
後記しますがシーラントがカピカピになってタイヤにこびり付く状態になるには物凄い時間(1年とか?)がかかりそうなので諦めました。
ロングライフ・低メンテナンス
< 実験方法 >
少量を容器からとりだし、開放空間で長期間放置してみる。
CafelatexとVegetalex両方とも同条件で実施
左の乳白色がCafelatex 右のグレー色がVegetalexです。
実験期間は21年1月18日~2月8日の約3週間
< 実験結果 >
Cafelatex
1週間を過ぎたあたりで膜ができ始め少し変色
3週間で完全に硬化
なにか油のようなものが浮いてきている。
Vegetalex
色等に変化はない
3週間でかさが減り水分が抜けた状態にゲル化したような感じ。
※パレットのVegetalexは更に空気に触れる面積を増やしてみたのですが、青容器と差異が見られなかった為実験を中止。
3週間経って紙の上に出してみたところ。
Cafelatexは論外として、Vegetalexはまだ水分がありますね。
たしかに耐久度はVegetalexの方が上、ということがわかりました。
シーラントにとって厳しい環境であっても3ヶ月は性能を保ち続けるというのも嘘ではなさそう。
今回の環境はシーラントとして扱っていないですからね・・・開放空間で3週間経過させてこの結果(ゲル状)を踏まえると6ヶ月というのもあながち誇大表現では無いのかもしれません。
Caffelatexは最早「個体」 Vegetalexはまだなんとか水分ある。
ちなみに、Vegetalexは水分だけが抜けただけの感じがするので上記の状態から水を足して混ぜてみたところ。
なんとなく戻ってるような・・・戻ってないような・・・?
Cafelatexは変化していますが、Vegetalexは単純に乾いただけかもしれません。
※個人的興味から行ったもので、乾いたから水入れれば復活しますというものではありません。
実験結果を踏まえて
メンテ頻度高→Cafelatex
メンテ頻度低→Vegetalex
レースシーン→Cafelatex (軽量で修理スピートが早いため)
ロングライド、ツーリング→Vegetalex (出先でCo2ボンベ使える、出先で綺麗にしてタイヤ裏からのパッチ当てれる)
一発の性能が高いのはCafelatex、一定の性能を長く持たせるのがVegetalex
このような考えで良いと思います。
今回はタイヤの内部に溝があり、表面積が増えているので感じるのかもしれませんが、
Vegetalexを入れる量はCafelatexの1.2倍以上は入れたほうが良い気がします。(~1.5倍位?)
ケミカル類は中々効果がわかりにくいものが多いですが、今回の実験でVegetalexに関しては詳しくなりました。
皆様も使用用途に応じて選んでいただければと思います。