コロナ禍で密を避ける交通手段として、自転車通勤を始める方も増えてきておりますが、初めて軽快車(以下ママチャリ)以外を買う人が戸惑うのが、ライトやカギ、泥除けなど、ママチャリでは標準装備のアイテムが別売オプションになるところだと思います。
その中でも、カギやライトは長く愛車を乗るため、また自分や自転車の安全を守るためのキーアイテムとなります。
そんなアイテムの説明や紹介を2~3回に分けて、行っていきたいと思います。
第一回目はカギについて、少しお話しできればと思います。

いまだに多い自転車盗難事件

私自身も人生で4回、自転車の盗難にあっており、今、思えばちょっとの間だから、カギはしなくてもいいかと油断せず、正しい方法で施錠していれば、その当時は後悔しました。
皆さんには、なるべくこんな経験がないようにと思いながら、このコラムを書いていきます。

自転車盗難事件データ


警視庁発表の過去10年間データによると、令和元年の自転車盗難の認知件数(届け出があった件数)は、168,703件!!
10年前の平成22年の件数と比べて、44.9%まで減ってはきておりますが、一日に【460台強】が盗難にあっている計算になります。

上のグラフの黄色は「施錠していても盗難にあった件数」、緑色は「施錠していなくて盗難にあった件数」を示しています。
このデータを見ると大体4(施錠あり):6(施錠なし)は変わらずに来ております。施錠方法やカギの種類によっては、施錠していても盗難にあうときはあうので、施錠方法やおすすめなカギについては、おいおい紹介していきます。

自転車盗難の多い場所

こちらのグラフも警視庁発表のデータをまとめたものになります。
青は駐輪場、オレンジは路上、グレーは集合住宅、黄色は戸建て住宅、水色は学校、緑はスーパー、紺は駅、茶はその他を示しています。最も多いところは自転車がたくさん集まる駐輪場やアパート等の駐輪場が多いですね。戸建て住宅での盗難も意外と多いですね。このことから、自転車が多く集まり、長時間の駐輪している場所は、非常に狙われやすいことが予想されます。

長時間の駐輪時には、的確なカギの種類や施錠方法をしなければいけませんね。
次からは種類や施錠方法について、まとめていきます。

カギの種類 あれこれ!!

使い勝手の良いワイヤー錠


ワイヤー錠とは文字通り、ワイヤーで自転車をロックするカギです。
スポーツバイクのカギとしては、主流なタイプです。
多様なサイズや価格帯があり、ニーズに合わせてチョイスできるのも魅力です。
また、ワイヤーをカバーするシリコンやビニール製など、色があるので、選ぶ楽しみもあります。

ワイヤー錠の特徴:
●簡単にポケット収納でき、サブロックとして発揮するコンパクトタイプ。 (ワイヤーの外直径が2.5~4mm)
●メインロックとしても使用可能な防犯性が高い太いワイヤータイプ。(ワイヤーの外直径が5mm以上)
●ワイヤーの種類でストレートタイプやコイル(らせん状)タイプがあります。
●開錠方法も3~4桁ナンバー式とキー式があります。
●長さも60cm~200cmと用途に合わせて選ぶことが出来ます。

コンパクトタイプのForce ミニロックストレートワイヤー
Force ミニロックストレートワイヤー

フレームやシートポストに取付が出来る太めのワイヤー錠、Force ミニダイヤルロック

ブラケット付きのForce ミニダイヤルロック

防犯性が高いチェーン錠


先に紹介したワイヤー錠のワイヤーの代わりにチェーンを使用しているカギです。
ワイヤー錠よりも防犯性が高いものも多く、幅広い価格帯があるのも魅力です。
こちらもキズ防止のカバー(ナイロン製)に色がたくさんあるので、選ぶ楽しみもあります。

チェーン錠の特徴:
●メインロックとしても使用可能な高い防犯性。
●ワイヤー錠に比べて、重量感がある。
●重くて持ち運びには不便な点がある。
●開錠方法も3~4桁ナンバー式とキー式があります。
●長さも30cm~180cmと用途に合わせて選ぶことが出来ます。

Force スリーブ ダイヤルロック
Force スリーブ ダイヤルロック

重量はあるが本当に高い防犯性のZEFAL K-TRAZ M14 チェーンロック
K-TRAZ M14 チェーンロック

防犯性が高いU字ロック

金属の棒をU字に加工したカギです。
ワイヤーカッターなどでもなかなか切断できないので、防犯性が高いです。

U字ロックの特徴:
●メインロックとしても使用可能な高い防犯性。
●ワイヤー錠に比べて、重量感がある。
●サイズがあまりない。
●単体では自転車全部をロックすることはできない。

ベーシックサイズのForce U字ロック ネオプレーン
Force U字ロック ネオプレーン

シリコンでカバーされたPanasonic ミニU型ロック
NSAJ087-B ディンプルキー採用ミニU型ロック

ブレードロック

薄めの鉄板をつなぎ合わせたロック。
U字ロックと同様にワイヤーカッターなどでもなかなか切断できないので、防犯性が高いです。

ブレードロックの特徴:
●メインロックとしても使用可能な高い防犯性。
●ワイヤー錠に比べて、重量感があるが、携帯用のフレーム取り付けブラケットがある。
●ブレードがフレキシブルではない。
●長さの選択が少ない。

撃やねじれにも負けない、強力なダブルロックシステムのZEFAL K-TRAZ F16

ZEFAL K-TRAZ F16

盗難見舞金制度対象のCrops K5-CABRIO (K5カブリオ)

Crops K5-CABRIO

後輪錠

自転車によっては、ママチャリと同じような後輪錠(馬蹄錠)が取り付けられる自転車もあります。
使い慣れた操作で施錠できます。

後輪錠の特徴:
●ママチャリと同じ操作で使用できる。
●自転車に固定しているので、持ち運びしなくても良い。
●Vブレーキやカンチブレーキの台座が必要。
●種類/カラーバリエーションがあまりない。
●単体では自転車全部をロックすることはできない。

後輪錠 GR-920

Gorin 後輪錠 GR-920

おすすめする施錠の仕方

カギの種類まで紹介しましたが、高い防犯性のカギを使用しても、きちんとした施錠をしないと、ママチャリよりも車体重量が軽く、簡単に分解できるスポーツ自転車は、盗難にあいやすいです。
紹介したカギを2つ以上使用した【ツーロック】を警察や自治体、自転車業界では、おススメしております。

【ツーロック】

文字通り2つのカギで施錠することです。
ホイール(車輪)がクイックリリース式(工具を使わず、レバーで簡単に開閉できるタイプ)が多いスポーツ自転車では、前輪だけもしくは後輪だけを施錠しても、簡単に施錠されているホイールを残して、残りを持ち去られることがあります。
実際に、私も学生時代に怠った施錠でアパートの駐輪所においてしまって、翌朝、前輪だけが残されていた経験があります。

必ず、下図のように1つは前後輪を施錠しましょう!
前後にワイヤー錠やチェーン錠を巻き付ければ、私が経験したように車輪だけ残されることが防ぐことができます。 この施錠方法は、スポーツ自転車の施錠のベースになります。 下図のように、チェーンステイ(後輪を支えているフレームの箇所)より上でカギをしましょう。 フレームを巻き込まない状態で、カギをしても前後輪のみ残って、自転車の大半が盗まれることがあります。
前後輪を巻き付けるにはワイヤーやチェーンの長さが180cmは必要です。

もう1つのカギを利用しよう!
泥棒は時間のかかることを嫌がります。 2つの鍵で施錠していれば、単純に2倍の時間がかかるので、それだけでも盗難防止に役立ちます。 この場合、短い方(30~60cm長は必要)でも良いので防犯性の高いもの(太めのワイヤー錠やチェーン錠、U字ロック、
ブレードロック)を使うとさらに防止となります。

ツーロックの応用編:
高級な自転車になればなるほど、各パーツ単体でも高く売れるので、パーツ単体でも盗まれることがあります。
その代表として、ホイールやサドルがあります。 ホイールは、上記の方法である程度、盗難防止になりますが、サドルは案外、盲点になりやすいパーツです。 サドルとフレームの間のパーツ、シートポストを固定しているバンドがクイックリリース式(工具を使わず、レバーで簡単に開閉できるタイプ)もあるので、簡単に持っていかれる場合があります。 そんな場合は、サドルレールにコンパクトタイプのワイヤー錠を通して、後輪に巻き付ける方法(下図)で盗難防止ができます。

最強の施錠方法【アースロック】

いくら、ツーロックで前後車輪を施錠しても、車体の軽い自転車は、そのままカギした状態でも盗まれる場合があります。
下図のように人力では動かせないもの(柵や車輪止め等)を巻き付けて施錠すると、自転車をその場から持ち去ることができないので、さらに防犯性が高まります。
これをアースロックといいます。 最強の施錠方法ではありますが、アースロックには注意点がありますので、下記にまとめました。

アース(地球)ロックの注意点:

駐輪可能な決められた場所以外のガードレール、街路樹、電信柱やその他公共施設へのアース(地球)ロックは、駐輪違反となります。
また、私有地の施設物を無断で使用することも違法になります。

まとめ

少しでも長い時間や目が届かないところに駐輪する場合は、必ず『ツーロック』!! 1つは太めのワイヤー錠、チェーン錠やU字ロックなど、防犯性の高い種類を使用して、可能な限り、駐輪所の柵や車輪止めなどアースロックも忘れずに。

今回紹介したカギや施錠方法で100%、盗難を防ぐことが出来るとは言えませんが、せっかく購入した新車や愛車を盗まれないように、気を付けてください。