BMC x Red Bull Advanced Technologies コンセプトバイクを発表

現地時間の5月4日、突如としてBMC公式YouTubeにて、登場したRed Bullのロゴが入った真っ赤なTTバイク【Speedmachine(スピードマシーン)】。
※こちらのモデル名は、正式発表されていないがトップチューブにモデル名らしきものがあったので、そう呼ばせていただきます。
日本総代理店の弊社にも情報がないまま、GWを過ごしておりましたが、一部海外メディアからの情報とBMC側からの情報が
少し届いたので、コラムにまとめたいと思います。

BMC x Red Bull Advanced Technologies

事の始まりは2018年から

2018年に初めてレッドブルと技術開発の提携したBMCは、それ以来、レッドブルが保有しているF1チーム(F1カー)のパフォーマンスモデリングやレースシミュレーションの能力を活用し、最速のロードバイク(TT/トライアスロンバイク)の性能向上を研究を重ねている。
最新のこのプロジェクトには、元ワールドツールプロでTTスペシャリスト、そしてBMCアンバサダーを現在勤めているスイスのレジェンド「ファビアン・カンチェラーラ」も参加し、アドバイスを提供。
このコンセプトTTバイクは、今年のアイアンマン世界選手権でデビューの予定をしている。

プロモーションビデオ


BMCの研究開発責任者であるステファン・クライストは、BMCが本社を構えるスイスのグレンヘンでのデザイン&エンジニアリングチームが、次世代バイクの実走テストを行うために、シミュレーションから自社でのプロトタイプ製作の開発プロセスについて語る。(翻訳はそのうちに)
そして、カンチェラーラは、順応性の高いフィット感やポジションの改良、長時間のタイムトライアルやフルディスタンスのトライアスロンレースでのエアロタックを維持するための乗り心地の調整まで、すべての工程に携わったと報告している。


また、カンチェラーラはこのプロトタイプがすごく素晴らしい出来上がりで、今後、どのように発展していくのかが楽しみであるとも語っている。

今、判明している詳細

現行のTimemachineシリーズ同様にトライアスロン向けポジションやタイムトライアル向けポジションが容易に設定できる。
(左:トライアスロン向け仕様、右:TT向け仕様)

トップチューブにこのコンセプトバイクのモデル名らしきプリントがあるが、正式な発表はまだない。
トップチューブとコックピットが面一になり、機能美にあふれる仕上がり。

従来のTimemachineよりもカムテール形状が広くなったと思われるヘッドチューブ。
まだ、UCIの承認は取っていないようだ。 それもあり、トライアスロンの世界選手権から投入して、より実用的な実績やデータを収集をはかるのだろう。

このコンセプトバイクは、全く新しいデザインのフロントフォーク、ワンピースコクピットシステム(ステム&ベースバー)を採用。
フォークとステムの両方の形状にスムーズにエアロヘッドチューブときれいに一体化され、空力特性をさらに向上しているようなデザイン。
ダウンチューブ側にはフォーククラウンからの気流を誘導ため(?)のフィンが付いている。

Timemachine Road01にも採用されているオリジナルツールボックスは、より気流をスムーズに後方へ導く役目があるのだろう。
また、TTバイク仕様の場合は、専用ドリンクボトルが取り付けられるデザインのよう。
フロントディレイラー用のブランクプレートが成形されており、1xと2xの両方に対応する。
今回発表のバージョンには、レッドブルカラーにはフロントシングル、そして、グレーカラーバージョン(TTバイク仕様)では
フロントダブルの発表となった。

独自のエアロシートポストは、上部に長い水平レールを持ち、幅広くサドル位置を調整することができ(こちらも現行モデルから
テクノロジーを流用したと思う)、トライアスロン向けやタイムトライアル向けのサドル位置に変更が容易にできるのであろう。シートステーはエアロ形状で、チェーンステーに向かって細くなっており、チェーンステーにはフラットマウントブレーキ
ディスクキャリパーが取り付けられ、交換可能なディレイラーハンガーはもちろんのこと4世代目SLR01にも採用されたスルーアクスルのドライブサイドは完全に隠されるステルスドロップアウトデザインなど、
エアロフォークブレードの先端と同じように、空力特性を求めた結果のすっきりとした外観を実現。
パッとした見た目は、現行のTimemachineシリーズと変わらないが、いろんな真新しいコンセプトを詰め込んだプロトタイプ。
しかし、細部を見ると、BMCとレッドブルがタッグを組み、F1レースからエアロダイナミクス性能をうまく融合させて、
機能やデザインを向上させたことが見てとれる。

このコンセプトバイクのデビューは、先ほども書いたが、レッドブルアスリートとBMCプロトライアスロンチームのメンバーである
パトリック・ニルソン選手が、現地時間の2022/5/7にユタ州セントジョージで行われる【アイアンマン世界選手権】で使用する予定と
なっている。

残念ながら、このコンセプトバイクは、あくまでも最速のトライアスロン/TTバイクの技術開発の向上のために作られてバイクであり、
市販予定は今のところまだないそうだ。
だが、近い将来いろいろなレースでの活躍や皆さんにお届けできることを望みたい。